現在DBS装置はメドトロニック社、ボストンサイエンティフィック社、アボット社から提供されており、それぞれユニークな製品を開発しています。

最近のDBS装置には以下のような技術的進歩があります。



1) デュアルチャンネル

従来パーキンソン病に対するDBSにおいては通常は両側手術が必要になります。この場合、従来の刺激装置では左右に1つずつ2台の装置を装着する必要がありました。最近の装置ではすべて両側対応(デュアルチャンネル)になっており、両側手術においても刺激装置は1台で可能になっています。


2) 充電式装置

従来の刺激装置は電池式で4〜5年毎に小手術によるバッテリー交換が必要でした。最近では充電式の装置も開発され、電池寿命も15年以上と飛躍的に長くなりました。充電は体外から可能で、刺激設定にもよりますが、週に1回30〜40分程度の充電を行う必要があります。


3) MRI対応

DBS施行患者のMRI撮像についてはこれまで公式には禁忌とされていましたが、最近の装置ではすべて一定の条件のもとでのMRI撮像が可能となっています。ただしMRI施行前に担当医による設定の変更が必要です。

 

4) ディレクショナルリード

最近開発されたディレクショナルリードでは刺激範囲に2次元的な方向性をもたせることが可能で、より繊細な刺激調整ができるようになっています。また、刺激により構語障害などの刺激副作用が出やすいような場合でも副作用をきたす方向には刺激を波及させないようにして必要な部分のみを刺激して副作用を回避することが可能です。現在発売されているほとんどのDBS装置においてディレクショナルリードが採用されています。

 

5) アダプティブ DBS

DBS電極から局所脳波を測定し、その結果を自動解析して患者さんの状態(オンオフ変動)に合わせて刺激強度を自動調節することが可能なアダプティブDBSがメドトロニック社により開発され、世界に先駆けて本邦のみで使用可能になっています。

 

6) 遠隔プログラミング

アボット社のDBSでは、患者さんは日本中どこからでも遠隔診療アプリのビデオ通話機能を通してiPhone等で遠隔診療を受け、症状を確認しながらインターネット経由で刺激プログラミングを行うことが可能になりました。遠方にお住まいで頻回の通院困難な患者さんにとってもDBSが選択肢になると思われます。



順天堂では患者さんの希望や社会的状況なども考慮してDBS装置を選択しています。

以下に順天堂で使用している最近のDBS装置とその特徴をまとめてみました。